2008年03月24日

スターンレビュー雑感

先日 安保面からの温暖化リスクの流れから
スターンレビューをご紹介しました。
その内容は↑のエントリをご覧下さい。

さて スターンレビューとは 
イギリス政府が スターンという学者に作成を依頼したモノで
経済的にグローバル・ウォーミングを考察したレポート。

基本的に今後 温暖化がもたらす経済的打撃は
世界全体の国内総生産(GDP)の20%に上るとし

その打撃を相殺する為には 世界のGDPの1%を
対策に回せば 危機的なリスクを回避できる
としています。
(注:リスクをゼロに出来ると言う意味ではありません)

これ正直 ベース数字に異論が多いのも確かですが
個人的には 哲学書として読ませて頂きました。

目指すべき着地点は悪くないと思います。

ただ まず経済主導で 温暖化対策を今から取れば
GDPの1%で済むけど
もしこれをやらなければ将来の損失が5~20%に上がると
上手く経済問題にすり替えた事が 見え透けすぎかなと。

うまい事 言い回したねって感じでしょうか。
いえ 数字的には本質なのでしょうけど。

これに 気を良くした?のがEUやUSA。

逆に言えば 世界のGNP1%が 新たな経済市場になると言う事で

それを実証する様に 2008年の温暖化ガスの排出量取引の
世界市場規模が 10兆円に達する見通しとなっている訳で。

取引規模は前年比56%増の42億トン(CO2換算ベース)

別に悪い話だと 言ってる訳ではありません。

検討当初から見えていた道だし。

EUなんかは企業の排出上限枠を割り当てる
「キャップ・アンド・トレード」を導入しているが

これは 政府が決めた各企業の排出削減量(キャップ)に対して
目標を達成できたら税の8割を減免し
さらにあまった分を売る(トレード)ことができるというモノ(UK例)

ただ このキャップについては 国別で見ると
不利な資本が生まれにくい事もあり
実は排出量(生産量)だけは増える様な気がしてならない。

このキャップ余剰分は今後 鋼鉄等需要が高まるハズの国々が負担して
もしかしたら 排出権取引の利益は先進国が持って行く様な。
EU間だけでは機能してるみたいだから悪くは無いのかもしれないが。

まずは世界的に見た場合 どの国をキャップの対象にするのか
そこを明確にし 全世界的での排出量削減を目指したい所。

今の所 中国やインドへのキャップは必要かと思う。
うー アメリカもだな。

また 排出権金額が安すぎる事も否めない様な。
その辺は 経済的打撃も大きいので 一概には言えないが。

現代の経済最優先主義で考えると 見えてこない壁も大きいと言う事か。

ただ日本みたく 手法無く成り行き見てるだけぢゃダメ。

あくまで私的で言えば キャップは中国・インドあたりに掛け
それを基準に その後 発展していくだろう国には
猶予を付けるって感じで 良いのでは無いかと思わないでも無い。

また それらの国は使用機器類の更新だけで削減は十分見込める。

そこらを縮めるだけでも 世界的には結構な利率の削減かと。

日本の鋼鉄産業は 排出面では ずっと先を行ってるから
これをキャップの基準にすると まずいのでは。

その技術を持って 後進国の排出量低減に当たるとか言った
貢献が求められるし その辺が生きる術だろう。

いや これは全世界的に見ての話ですけどね。

て訳で 賛否両論だろうスターンレビュー。
それでも ちょっと経済と国家交渉絡めて読むと 面白いレポートかと。

キホン 炭素経済社会からの離脱思考のひとつとして
一読の価値有りかと思います。


スターンレビュー雑感
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8046

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Posted by   Eye's   at 08:50│Comments(0)環境
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