2008年01月14日

窓の話2

その1からの続き
さて 窓の起源の違いから続き その弊害へ。

こうした窓に起因する諸問題を解決するのが
高気密・高断熱・計画換気だと言える。

どんな住宅雑誌を開いても 関連記事を見る事が出来るが
読めば読むほど解らなくなるのが 使い古された感も大きい
この曖昧な 高気密・高断熱だろう。

シンプルに考え その曖昧な原因の一つが全体のシステム構築への
基本理念を明らかに欠いて導入された事にあると思う。

曖昧さ故 一定の基準や確立された施工方法も無く
住宅メーカーが販売戦略にだけ都合の良い言葉として
使っているだけだろう。

少し前席巻した 外断熱vs充填断熱なんてのにも
その一端を見る事が出来る。協議すべきはソコでは無い。

消費者は その渦中で右往左往しているのが実状。

例えば一般に 日本の住宅に対する窓面積は
欧米と比べ大きく もちろん消費者もそれを希望する。

こうした考え方は 日本の動く壁とした開口部の名残であり
壁の何倍も熱損率が高い窓にも関わらず 性能の低い
アルミサッシュを多く付け 更に分譲などでは
部屋数が多い方が売りやすい為 小さな家をさらに小割して
×DKと 単なる箱の集合体として売り出されている。

欠けている理念とは やはり×DKとされる
単純な数による部屋割りであり

例えば 家族の集まるリビングを中心として
平面だけでなく 上下階・斜めの視線など 
オープンプランニングを導入して

初めて家全体の高気密や高断熱・計画換気や
全館空調が生きてくるのだと言える。

窓は 風や光の恩恵を受けるだけでなく
その配置やデザインで 印象的なインテリアや
美しい外観を決める重要なファクターであると共に
居住性を大きく左右するポイントと言える。

HousingEye’sでは基本的にアルミサッシュは使わない。
それを作る工程から廃棄までのLCAが高い事と
住まいだしてからの熱損量・インテリア性が悪すぎるから。

そして 最低限以上の性能を開口部(窓)に持たせる事で
平面プランにおいては オープンプランを基本に
同じ床面積でも より広く見える様より使いやすく出来る様
また次世代での可変性も考え 構造体からデザインしていく。

もちろん 家族間とは言えプライバシーも尊重すべきだが
その辺りの長期的なイメージを持たない
現在の高気密・高断熱と言うカテゴリーは

戦後日本のアルミサッシュや開放型石油ストーブの
導入と同じ轍を踏んでいると思えてならないのだ。

すべてに起因はあり すべては繋がっている。


   窓の話2

   MasterBedRoom ハイサイドに付けた明かり取り例
   木製サッシュに現場塗装でインテリアコーディネート。

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Posted by   Eye's   at 09:27│Comments(6)家を建てる前に
この記事へのコメント
アルミサッシより、建具の方が熱効率がいいって事ですね?
知りませんでした・・・(;^_^A

これって環境的と言うか、資源的と言うかにもっと広げるべき事ですよね?
まぁ、天下の北陸の地域産業のYKKなどを敵にまわさねばなりませんが・・・
Posted by 真野 at 2008年01月14日 17:09
つまらん戯言にお付き合い頂き 申し訳ございません(汗

と ちょっと言葉が少なかった様で 加筆いたします。
アルミより建具の方が と言うのはここで書いている建具とは
木製サッシュを指しています。

ちゃんと気密の取れた 完成品の窓の事で
気密・熱伝導率が少ない程 優れた建具と言えると思います。

そこで ちょっと四方山話としまして・・

アルミが非常に熱伝導率が高いのはご存じですよね。
アルミの鍋の湯が 沸騰し易いのは この為です。

木の2000倍の熱伝導率ってのは 本なんかに良くあります。

また 1Mの厚みのコンクリートと9㎝の厚みの木の熱伝導率は ほぼ同じです。

そうなると 木は断熱材?みたいな事も言われますが
実はそんな事はありません。

この辺りは 数字で考えた方が解りやすいので
一度【熱伝導率】K値で 建具を並べてみます。

K値とは窓や壁などの断熱性能を示す指数で
この数値が低いほど断熱性能が高いことを示します。

■ 木戸 K=12.5W/㎡K
■ ガラス K=5.2W/㎡K
■ 障子 K=4.8W/㎡K
■ ふすま K=3.0W/㎡K

気密を全く無視した数値でも ガラス単体より
木戸の方が 寒い事が解ると思います。

そして アルミ製単板ガラス窓は K=6.28W/㎡Kとなり
実は 障子よりK値が低い事になります。
(外部温度の影響を受けやすいって事です)

それ思うと 襖で覆われた昔の家って
そんなに寒くなかった訳です(気密は無視してますよ・笑)

数字で考えると 見えて来ますよね。

以前も書きましたが 日本でラベリング最高等級として
決められた窓のK値が MAX=2.33W/㎡K。

輸入木製サッシュなど K=1W/㎡Kを切る建具がある中
これは 日本の窓の将来性を止めてしまう事になるのです(-_-;)

もっと数字を突き詰めて行くと 住宅内熱損失の4割程度は
窓と言うことを考えると やはり窓の強化は必要なのです。

暖房消費量だけで無く 住まいやすさって観点からもです。

て訳で まずはこんな基本を前提として
主導権を持って 法令化して貰いたかったのですが・・はは。

でも こうゆう事 消費者の方が ちゃんと熟知して来ると
なんちゃって【高断熱】なんて売り言葉は 逃げるしか無いですね(笑

自分で自分を守るってのは そう言う事かなって。

>YKKなどを敵にまわさねばなりませんが

あはは。メーカーさんには いつも言ってます(爆

開発チームには 何度か話通してもらってますが
他メーカーさんとの絡みもあって なかなか進まないと言うか
規制で MAX2.33W/㎡Kって決まっちゃったですから
もう 何ともなりませんね(笑

http://housingeyes.hida-ch.com/e15863.html
↑パブコメ入れたんですけどね・・はは。
12月29日にも関連書いてますです。

竹中平蔵さんに発言権があった様に
外部有識者の上位的地位ってのも必要なのかもです。


でも この辺りは 消費者の方も勉強される事で
何か方向性が変わってくる様な気がします。

K値に限らず 正確に居住性は計算できますから。
もちろん計算だけで無く 的確な施工も必要ですが。

たまーに オカシナ住宅広告見受けますが
消費者が そのウソ見抜ければ楽勝ですよね。

リフォーム詐欺とか耐震偽装なんかにも言えるかなって。


もちろんその為に負けない様 日々勉強してますです(笑
Posted by Eye's at 2008年01月14日 18:49
日々勉強ですか・・・大丈夫です!先生の博学さには、いつも脱帽です!
今日も、コメント欄ですら、大勉強させていただきました。そっか、☆☆☆でも駄目ですか・・・そうですよね・・・。と、言うより、このコメント欄だけで、1本、投稿出来るのでは?(笑)
頭の中、どうなってるのか見てみたい・・・(爆)
Posted by RUN at 2008年01月14日 23:12
頭の中は・・酒が詰まってますから 見ない方が良いです(笑

時に ☆☆☆とは窓のラベリングの事ですよね。
実際その通りなのですが 実際【新省エネ】とか【次世代省エネ】基準でしたら
K=2.3程度の窓でも 数字的には満足できます。
まずは 最低限コンスタントに それらの数字を満足させてからの話です。

ただ特に こちらは暑くて寒い地域柄 そんな熱損量では
単にもったいない←と思ってます。

もちろん導入するコスト対効果も見てで 無尽蔵に性能を上げれば良いとは
全く思っていませんです。はい。 今日は寒いですぅ。
Posted by Eye's at 2008年01月15日 09:03
δ◎◎¬ なるほど~

国産で木製サッシュはないのですかね?
作ったら、売れそうな気がするのですが・・・(;^_^A
Posted by 真野 at 2008年01月15日 10:32
あ 長々とすいませんでした(汗

国産木製サッシュありますよ。

ただ 今回の性能ラベリングで どんなに性能の良い
サッシュ作っても性能表示的には
全く評価されない訳でして その辺が問題かなって。はは。
※評価だけを考えればですが(汗

あとは コストの問題ですね(費用対効果も含め)

で 国産に限らず木製サッシュにも 純木製から
アルミクラッドや樹脂クラッドまで色々あります。

純木製ですと北欧のモノを使ってます。

ただ ご存じ日本は高温多湿ですので 設計段階から
気を遣わなくてはいけませんし イメージだけではイケマセン(^-^;

また国産の木製サッシュですが 私知ってるのなんかは
水切り等 外部に接しているアルミ部分が
そのまま室内に露出しちゃったりして そのまま熱橋と・・
本末転倒でございます(涙

高いお金払って 結局室内で樹氷出来ちゃってる(笑
現場 ご相談受けた事あります。

その辺りは 採用前に吟味すれば簡単に回避出来る弊害なのですが
どうもイメージ先行で 事前調査無しで進んでしまうと
後で失敗に気づく事が多い様です。

あと 木製故に生活習慣による歪みや不具合も出やすく
その辺り 導入前の周知も必要かと思います。

もちろん 取り付け方にも最低限の知識が必要です。

現在 メンテナンス性も考え 個人的にはUS製の
樹脂クラッドされた木製LO-Eの窓をオススメしていますです。はい。
もち 直輸入ですのでコスト抑えてですが(笑
Posted by Eye's at 2008年01月15日 13:11
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