2008年05月08日

ペットから高濃度化学物質

アメリカの環境保護団体 EWG(エンバイロメンタル・ワーキング・グループ)
の発表によると 犬や猫など小動物とされるペットが
有害な化学物質に汚染されているとの事。

調査によると 猫に対する 臭素系の難燃剤(家具や繊維・家電製品に使用)が
人間の23倍。エサの魚類から摂取されたと思われる 水銀が5倍とか。

犬は シミ・油汚れ防止表面処理剤に使われるペルフルオロ系物質が
人間の2・4倍だったとの事。

これ 本来床の近辺で呼吸しているペットと言う事や
なんでも舐めるとか 咬むと言った習性から
蓄積されやすいと言えば 確かにその通りで特に目新しい報告でも無い。

室内空気は綺麗に見えても 床より30㎝ 壁より30㎝程度は
殆ど空気が動いていないと思って正解。


空気より比重の重い ダストや有害な化学物質も
その床近辺に溜まっている
と思えば良いだろう。

その空気を 体重の小さなペットが吸っているのだから
やはり 空気質に対するリスクは ヒトより大きいと言える。


では それが即危険かどうか?

猫の例を挙げると 臭素系の難燃剤が人間の23倍との事で
例えば 体重3㎏の猫と50㎏の人間で比べれば

既に体重差で16倍以上あり 同じ空気を吸っていても
普通に リスクは16倍以上存在する事になる。

そして 床近辺の停滞した空気を吸っていると仮定すれば
上記の数字根拠は定かでは無いが 23倍と言うのも さほど驚く数字では無い。


臭素系の難燃剤と言えば 代表的なのが
PBDE(ポリ臭素化ジフェニルエーテル)なんかが思い浮かぶけど

この物質 ダイオキシンと類似構造を持っているが
ヒトに対しての PBDE残留濃度を調べた調査結果によると

1970年に脂肪1グラム中に検出されたのが 29pgに対し
2000年採取の脂肪中には約44倍の1288pgとなっている。

PBDEは プラスチック製品などに含まれ 焼却や埋立てなどにより
環境中に広がって人体に取り込まれたと見られているが 
 
そのダイオキシンのTDI(体内負荷量)は86ng/kgとされているので
16分の1の体重しか無い猫にとっても さほど問題は無い数字かと。

またPBDEの毒性データによると ラットのLD50(半数致死量)で
500 mg/kg以上との事で普通物に分類され 毒性は低いと言える。

まぁ ダイオキシン類の毒性とは 大体そんな程度である


って訳で 特に心配する数字では無いんだけど

動物にとって好ましくない有害物質が蓄積されていく事を考えれば
諸手を上げて 安心と言う訳にもイカナイかなと。

そこで コンパニオンとしてペットと接する方や
いつも低い所の空気を吸っている 赤ちゃんが居る家庭
などでは


朝起きたら まず掃き出し窓を開け 床面の空気を
ホウキで 掃き出す様なイメージでの掃除がオススメ



こんな習慣は アトピーで悩むお子様を持つ方には
真っ先に実行して頂く事だったりしますが

もちろん それは健常な人間に対しても同じ事。

化学物質過敏症 なんて言葉が無かった時代
その症状は 人体蓄積症候群なんて呼ばれてました。

住宅の高気密を 正しく追求して行けば
確実に減らせるリスクなのは確か
だけど 現在日本に建つ
ストック住宅の大半や基準値に それを求めるのは不可能。

普通に考えて 中途半端に隙間だらけな空間や 計画換気が不十分で
よどんだ空気 掻き混ぜても総量は変わらないですよね。

なるべくなら 有害な物質を含む製品を手にしない事が一番だけど
難燃材となると リスク大嫌いの日本人には難しいだろうし。

って事で

床・壁近辺の空気は動いていないってイメージで

ペットの有無に関わらず 朝一ホウキでの【履き掃除】
見直してみる価値アリアリですよ。



☆☆ pg = ピコグラム ☆☆

ピコとは 極小のものを表すときに用いる接頭語で
1兆分の1グラムを表す重さの単位。

ナノグラム(ng)の1000分の1
マイクログラム(μg)の100万分の1
ミリグラム(mg)の10億分の1に値します。

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Posted by   Eye's   at 09:04│Comments(0)室内空気質
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