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2009年07月09日

日米に見る住宅耐久性2

昨日に引き続きまして 本日は②気密と断熱と耐久性

昨日の降雨による影響はこちら

ちとマニアな話になりますが コアな部分ですので
お付き合い下さい^^

コメントそのまま抜粋して記載する事お許し下さい。

>勿論現在ではきちんと断熱とセットでベパーバリアが成されていて、
>逆に日本よりしっかりしていると思うんですが、別に最近になって
>住宅の耐久年数が急上昇したわけでもなく、昔っから長持ち
>してたじゃないっすか。

>いくら湿度や雨の事情が日本と違うからと言っても、やっぱり気密しっかり
>とってやらないと壁内結露するだろうし、結露するとツーバイみたいな
>工法って面材がやられちゃうと思うんですよね。


全くもって ごもっともです。

住宅平均寿命的に イギリス141年・アメリカ113年に対し
日本はなんと25年なんて報告があります

もちろん気候等違いはありますので一概に括れませんが
25年の寿命では各世代で新築住宅費を持たなくてはいけませんよね。

それでは その家系にお金なんて残らないのが現状です。

そこで御質問からの気密と耐久性の相互関係。

米国では何時頃からべパーバリア(防湿)と言う考え方が
あるのかは 残念ながら不勉強にて解りませんが(涙

ただ ツーバイが日本でオープン化され既に30年以上。

90年にはカナダの「R2000」も導入されましたが
その時には既に べパーバリアによる気密基準も確立していた事を
見るとそんなに新しい技術でも無い様です。
※R2000=ただでさえ性能の高い カナダ住宅の暖房費を1/4にするという省エネ基準。

とは言え 米国住宅の平均寿命113年と言うデータから察しても
100年あちこち前の住宅改装時に べパーバリアは見た事ありません^^

となるとべパーバリア以上に要因があると。

さぁその要因とは何か。答えは「気流」にあると思います。

何度も書いて恐縮ですが 今回改正のあった住宅省エネ基準と
住宅性能表示制度評価方法基準からは 気密基準が抜けました。

それはそれで一言あるのですが(笑
その代わりに始めて「気流止め」と言う言葉が明記された訳で



上図の様な 管理できない気流を止めましょうって事です。
画像はフラット35技術基準資料より

管理できない気流が断熱材の性能を奪い 燃料費を奪い
快適を奪う訳です。それどころかカビ・ダニなどの弊害もあわせ
住宅の低寿命を生んでしまいました。

よく 日本の昔の家は「すきまだらけ」だから長持ちしたなんて話を聞きますが
それは半分正解で半分間違い

なんだかんだ 昔の日本の家には壁と言うモノは少なかったとは言え
その壁体は土壁。

土台から桁まで練りこまれた土壁には 気流が発生しません

そして建具部分には必ず框があり そこでも気流止めの役目を持っていました。

いくら土や木に断熱性が無いとは言え 管理できない「気流」は無く
もちろん 囲炉裏等の生活ですから排気の為 目に見える「すきま」から
ちゃんと「換気」が行われていた訳です。

この気流と換気がポイントで 米国では機械換気や
セントラルヒーティングは古くから一般的でした。

セントラルヒーティングが付いた現在でも
中古住宅の売買には暖炉(ファイアープレイス)が
ついた家の方が 高値で売買されます。

向こうでは夏でも 暖炉に薪をくべる習慣がありますが
それは暖を取る為で無く 温度差と煙突による
「換気」の為なんですね。

日本でも囲炉裏には一年中火を入れていたハズです^^

もぅ解りましたよね。

右図は 一般的なツーバイの断面ですが
普通に作っても管理できない気流は発生し難い
構造と言えます。

その特質上 特に留意しなくても気密性能は
ある程度簡単に上がるのも確かで

またこの気流止めはファイアーストップの意味もあり
内部からの火災にも強いと言う恩恵も齎せます


いくら日本とは湿度推移が異なるとは言っても
その辺りが大きな違いと言えそうです。

現在の日本の住宅低寿命の陰には 戦後の
見た目だけ洋風大壁と無知な断熱施工そして
管理できない気流が潜んでいると見れば正解でしょう。

わざわざ木を壁に貼って さぁ健康住宅ですと。
まぁ見た目には優しいですが^^

また真壁でも 現在は土台から桁まで塗る事は無いですもんね。

よく温暖地では べパーバリアを施工すると夏季の逆転結露が
発生するというネガティブキャンペーンを目にしますが
実物実験で耐久性には問題ないとの報告もあります。

まとめると もちろん移住性や断熱材を守るためと言った観点から
正しい防湿は必要不可欠だけど その前に管理できない「気流」を
排除する事が大きなファクターになると
思うのです。

あと忘れがちなのが メンテナンス性

細かくは割愛しますが 床下スクロールスペースや
その合理性が高い建築様式は 窓の交換や壁等部材の交換など
ちょっと器用な方なら素人でも可能で

それらメンテナンスにおける共通ディティールの多さも
長寿命の一因を担っているのかと思います。

ハード面だけでは無い ソフト面やメンタル的な要因ですね。

ちと話はソレましたが^^そんな感じを御質問への返答とさせて頂きます。
ハイパーに個人的な見解で申し訳ありません(汗

言葉足らずのクセに無駄に長ぃですね・・こんなで宜しかったでしょうか;


ちなみに弊社では ツーバイも軸組もラインナップしておりますが
そう言った 自社基準は全て統一しています。

すなわち どの工法を選んでも基準法より強い思想は同じで
選択肢としては 意匠的とかプランによる優劣しかありません。

また最近の軸組工法は 面材での壁倍率や剛床による床構面の
強化など 思想はツーバイにクロスリンクして来たのも確かです。

そぅなると基本理念と施工精度を正しく維持できれば
工法は特に特筆する必要も無いのかなって思わなくもありませんw

結局は性能値としてどれだけのラインを狙うのかと
その数値をどれくらい持続出来るかって事ですし。

なんちゃってなネガティブキャンペーンに踊らされるのは
時間の無駄ですよね^^

最後に 既出ではありますが暖房デグリデーから見る各国の断熱基準です。



等級2が 昭和55年告示の省エネ基準で
等級3が 平成4年告示の新省エネ基準。

そして等級4になって ようやくⅡ地域がデグリーデー対比で
ギリギリ合致出来るかなって感じの次世代省エネ基準です。

等級3だと Ⅲ・Ⅳ地域でも冬季厳しいですね^^

個人的にはコストも絡め 次世代基準の半分以下の熱源で
快適に暮らして頂ける程度のラインを狙っていますですw

  

Posted by   Eye's   at 12:20Comments(4)家を建てる前に